雪が降っていた。

視界の届く限りが、雪で覆われていた。

それは、幼い日に喜びを教えてくれた優しい雪とは違う、

悲しみをもたらす、冷たい雪。

1945年、冬。

滅びつつある帝国の、その東の縁で、

僕達は、雪と死に向かい合っていた。

降り積もる雪はどこまでも白く。

流される血は、どこまでも赤く。


<Kanon-1945>

くわね (kuwane@fc4.so-net.ne.jp)


 武装親衛隊義勇第39対戦車猟兵大隊<メッケル>。
 様々な民族による義勇部隊の存在する武装親衛隊の中で、日本人によって構成された唯一の部隊。
 逼迫した戦況の中。速成の士官教育を受け、再びその部隊に戻った俺は、一人の少女と出会う。

 降り続く白い雪の中、俺達は戦場に何を見るのだろう。







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