NHKスペシャル「世紀を超えて」
クライシス、突然の恐怖
第1集・巨大ハリケーン襲来、そのとき危機管理は
突然襲い掛かる大災害
竜巻・落雷・水害・火災
阪神大震災
6400人10兆円の損失
危機管理のもろさがあらわに
フロイド・史上最大のハリケーン
徹底した危機管理システムでアメリカは対処
上陸前に300万の人々をいっせいに避難させる
軍や特別救助部隊を投入してのすばやい救助活動
クライシス・突然の恐怖
第一集・巨大ハリケーン襲来・そのとき危機管理は
去年9月10日・気象観測機がハリケーンに接近
直径560キロ、史上最大のハリケーンフロイド
ハリケーンの目に突入する観測機
目の直径は90キロ・時速26キロで北上
フロリダ・ジョージア・サウスカロライナ・ノースカロライナに上陸の危機
上陸が確定的になるとFEMAが司令塔となり国を上げての対策
4つの州と電話会議を行う
直接避難命令を下すのは各州の危機管理局
住民の避難が必要であると決定を下し、4つの州に通達
フロリダ州・デイド郡
もっとも速く上陸すると見られた
避難命令は、郡から発せられる
コンピュータシステム・ハリバック
FEMAの配備したシステム
避難行動に関する過去のアンケートやハリバックを参考にする
避難規模が確定すれば避難完了までの時間がわかる
避難命令が発する時刻から逆算し、自動的に避難の過程が決定される
強制避難命令
暴風圏に突入する13時間前に避難命令
230万人中60万人に避難命令
観光客の多いリゾート地
強制避難命令が出るとホテルは客を退去させる
航空券や代わりのホテルの確保もホテルが
一日四万〜5万ドルの損失
郡や警察が強制的に避難させる事が出来る
300万人が避難
渋滞対策
避難の車がスムーズに動けるよう幹線道路を監視、信号などを操作
反対車線も使って避難の車をさばいた事で、高速での渋滞も回避できた
FEMAは各州や地方自治体の危機管理のために組織されている
より組織的により効率的に行えるようしている
ハリケーンは接近したが、猛威を振るった地域では既に避難は完了していた
無人となった町では東南を防ぐため警察と郡が警備する
内陸部での洪水が発生
ハリケーンの大雨が時間を置いて中流域に集まり洪水に
ノースカロライナでは史上最大の洪水、51人が死亡
自治体の救助ではとても追いつかない
被害が拡大すると救出活動もFEMAが中心となる
大統領に激甚災害宣言を出すよう進言
大統領の代理として救援活動全体を統括できる
事後承諾で使うことの出来る特別予算が与えられる
28の省庁と軍に対する大統領の指揮権を与えられる
現地に入ったFEMAが実際の指示を行う
書類手続き無しに郡や自治体、沿岸警備隊のヘリ60機を調達
手続きは事後処理で良い
特別訓練を受けたチームも調達
闇を低空で飛行して、被害者を発見・救出する
320人の人々を救出
準備の揃わない小さな自治体での救援活動は連邦が責任を負う
議会によって与えられた指揮権はこのために存在する
阪神大震災
突然の大災害に強いリーダーシップを発揮できない
日本に派遣されたFEMAが救援活動に協力
救助や物資供給に関して強いリーダーシップを取るよう助言
日本にもFEMAのような内閣安全保障・危機管理室が発足
危機管理室は連絡調整が主な権限で、他の省庁を指揮する権限はない
1970年代までの米国の危機管理は核戦争時の住民避難
スリーマイル島事故に教訓を得てFEMAが設立
年々被害額が大きくなる自然災害に十分対処できない
1992フロリダ・ハリケーンアンドリューの際にも3日遅れて到着
核戦争対策の人員と予算を災害に当てる事が出来なかった
会計検査院は改革を求める
核戦争対策より大災害に予算と人員を当てるよう勧告
1993、ジェイムズ・リー・ウィットが長官に就任
全米対処準備局を解体し、救援復旧局にする
連邦保険局を強化、被害軽減局を設置
救助専門部隊も地方と協力し設置
核戦争用予算から捻出した予算で消防署に救助チームを配備
救助専門チームは全米に27あり、FEMAからの要請で救助を開始する
カリフォルニア・ノースリッジ地震で改革が試される
11チームが35人の被害者を瓦礫の下から救援
ハイウェイ10号線の復旧
復旧に当たる建設会社に対し、予定より早い回復には1日20万ドルの割増を約束
一日辺り100万ドルの損失に比べれば軽微
形式主義官僚主義を廃し顧客たる国民へのサービスをアップする
この結果、効率も費用も改善
ドイツミュンヘン
世界最大の再保険会社ミュンヘン再保険会社
国や自治体の災害対処能力を収集分析
再保険料が増額されると、結果として個人や企業に添加される
台風18号に対し支払った保険金は3000億円
日本の災害計画に対して再保険料が算出される
危機管理上の問題を印象付けた災害
危機をしっかり管理したり、すぐに対処できない組織は国際的に大きなリスクを負うことになる
事前の準備があるか否かが国にとって決定的な意味を持つ
米国・ノースカロライナ州
44000軒が浸水
災害復旧の分野でもFEMAは活躍する
オペレーションセンターを開き、被害者1人1人から被害状況を調査
電話での被害報告から1週間以内にFEMAから建築家が調査に訪れる
家を失った被災者に対して、トレーラーハウス1600台を購入し供給する
一台当たり2万5千ドル、一年間貸し出される
放っておくことのリスクに比べれば、多額のコストも許容される
調査から10日後に連邦政府から小切手が−7500ドル=月収の4ヶ月分
1億7千万ドルが投入される
民間企業では採算の取れない洪水保険を運用している
蓄えていた資金を全て使ってしまったレストラン
ドル箱の宴会場は未だ再開できない−6万ドルの修理費用が必要
全米で450万件の加入がある洪水保険
レストラン経営者キング氏には10万ドルが支払われた
FEMAの現地事務所から中小企業庁の職員が派遣
25万ドルまで有利な融資が受けられる
出来るだけ速く被災地に資金を投入する事が国益にかなう
必要な時に必要な物を提供する事が大切
政府にとっても大きな見返りが期待できる
将来の災害対策
洪水で水に漬かった家屋を連邦が買い上げ更地にする
洪水が起きても被害が拡大しないよう移転させる
金銭に換算したリスクに災害の確立をかけて出た損失価格が、移転価格を上回るならば、移転が行われる
集落全体が更地にされ、住民を移転させる所も
100年に1度の災害が襲い掛かる地域は全て買い上げようとしている
21世紀を有利に迎えるための先行投資という位置付け