えばでONE

02
C.F (c.f@ijk.com)


ある日の夜、明日香の部屋にて。
(まったくもう、真嗣、鈍感なんだから。
 せっかく、あたしにキスするチャンスをあげたのに
 これは、何か罰が必要ね……)
(布団の方はこれで良し、問題は隠れる場所ね
 机の下はすぐ見つかっちゃうだろうし
 ベッドの下は埃っぽそうね
 ……ここにしようかな
 ここならあったかいし、ちょうど良さそうね……)

「明日香?起きてる・・・?」
翌朝、明日香の部屋へ入っていく真嗣。
その部屋のベッドには明日香が寝ているはずだが
彼女のトレードマーク、淡い色の髪がベッドに見えない。
どうやら、頭の上まで布団をかぶっているようだ。
(あ、なんか、かわいいな)
毎朝、彼女を起こしに来る度に、その魅力を再確認する真嗣であった。
「明日香、起きてよ……」
布団の肩の辺りを揺さぶって、声をかける。
反応はない。
(又、キスしないと起きないとか……)
間近で見てしまった彼女の唇が頭の中によみがえる。
が、なんとか本来の目的に復帰。
再び揺さぶる。
(ん?なんか手触りが変だな)
いつもと違う感触に気付く真嗣。
一瞬の躊躇の後、布団を持ち上げていく。
「何で……毛布が……?」
そこには、人の形に丸められた毛布が一つ。
慌てて部屋を見回す。
「鞄は……ある、制服も……ある」
彼をおいて、登校してしまったと言うわけでもないらしい。
「ねぇ、明日香、どこいるの?」
視線の陰になってる所などを覗き込む。
しかし、部屋の隅などで寝てるわけでもないらしい。
(又、僕で遊ぼうとしてるんだな)
怒っているのと拗ねているのとが半々になった表情。
「もう!遅刻しても知らないからねっ!」
そう言い残して真嗣は部屋を出ていく。



















数十秒後、真嗣はまたその部屋にいた。
明日香の事が気になって戻ってきたのだ。
「あぁ~、もう、明日香、隠れてるんだろ
 でてきてよ、本当に遅刻しちゃうって」
「ぐー」
彼女が隠れられそうな所を覗いていく真嗣。
机の下……いない、ベッドの下……いない。
(変だなぁ、いつもなら、そろそろ出てくるのに……)
不安と言う要素が表情に現れ始める。
「本当においてっちゃうからねっ!」
結局、明日香を見つける事ができずに、再び部屋を出る。



















しかし、やっぱり戻ってきてしまう。
その表情にはもはや不安のみが現れている。
部屋に入って辺りを見回していると……
どた
クローゼットの方で、物音がした。
慌ててクローゼットを開く。
と、そこにはアスカが丸まって収まっていた。
「あ、おはよう、真嗣」
「明日香っ、何でそんなとこで寝てるの!?」
「ん?……あ、これは真嗣を驚かせようと……」
「はぁ」
「なによ、せっかく驚かせてあげようと思ったのに」
「……」
(あ、こいつ、本気で心配してたわね
 まったく、馬鹿なんだから)
微妙に嬉しくなってくる。
が、それを素直に出せない性格である、
どうして誤魔化そうかと思っていると
ふと、部屋の時計に目がいく。
「って、もうこんな時間じゃない
 何でもっと早く起こしてくれないのよっ!」
「あ、明日香ぁ~」
「真嗣……寝坊したわね」
ニヤリ(半角カナ)とでも形容できるような、意地悪い笑みを浮かべる。
何とか、普段の調子に戻れたようだ。
「違うよ!明日香がそんな所で寝てるからだろ」
「なによ、元々あんたが悪いんじゃないっ!」
思わず口が滑ってしまう。
が、そこは鈍感男・真嗣、この程度で悟れるようなら
今の明日香の苦労はない。
もっとも、明日香の性格に負う所も大きいのだが。
「何でだよ、明日香が悪いんだろう、そんな所で隠れてるから」
「あぁ~、もう!今日は朝御飯はいいから、外で待ってなさい!」
紅潮した顔を見られまいとしてか
真嗣の背中を押して部屋の外に追い出す。

(まったく、何にもわかってないんだから
 でも……あたしをおいてかなかった事は合格点かな?)




くわね氏のリクエストにお応えして、あのシーンです
シンジの性格がなんとなく違うような気がしますが
お許し下さい m(__)m
・11月15日改訂
なんか、気に入らなかったので書き直しました
ほんと、無能ものです<私



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