3 years over ...
-23rd,December-
text by C.F (c.f@ijk.com)


「冬弥君」
『もう誰も愛さない』
「そんな風に思ってない?」



「でも、そう思いながら、まだ、由綺を追うのね」
「じゃ、誰か別の人? 傷ついたかわいそうな冬弥君を癒してくれる」
「そういう誰かを求めていない?」



「愛することは賭けよ」
「危険を冒さない事、もう2度と傷つかず、誰も傷つけない」
「だから、あなたは、誰も、もはや、愛さない」



「でも、本当に、全く、愛していないのかしら」
『由綺との思い出も、あの冬の出来事も、この店の空気も、何もかも、全てを、愛していない』
「そう言えるかしら」



「私は愛しているわ」
「兄さんの思い出も、あの冬の出来事も、それからの私も、憎むことなんて、忘れることなんて、出来ないもの」
「あの時の賭けに、私は負けたけど、それでも、愛することでしか、いられないから」



「私、引退するの」
「引退ツアーも、引退セレモニーも、何も無し」
「私が愛した、私を愛した、人を巡って、ここが一番最後」



「これで、私の、引退の儀式は、終わり」
「緒方理奈は、緒方さんに、理奈ちゃんに、戻る」
「そして、もう一度、賭けをするの」



「明日の、この時間、あのツリーの下で」
「その時計で午後6時31分40秒」
「1分も、1秒も、待たないから」







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