3 years over ...
-24th,December-
text by C.F (c.f@ijk.com)


 AM 03:00

 『為すべきか、為さざるべきか、それが問題だ』
 この場に於いて問われているのは、当為の問題ではない以上
 こう、言ってみた所で、状況が変わる訳も、無い



 彼女の指摘は、正しい
 結局、何も愛さないと言う決意など、空虚なものでしかない
 愛しているが故に、愛したいが故に、その恐怖に、打ち震えている



 何故、愛していることを、愛したいことを、否定するのか
 愛に於いて、何かを損なった経験が、それを為すのか
 裏切りの経験が、裏切りの自責が、それを為すのか



 裏切りの行為そのものは恐怖ではない、裏切りが自らに帰着すること
 再び、裏切ること、裏切りと見られること、裏切り者になること
 では、誰を裏切るのか、誰が裏切りとみなすのか、何が裏切りなのか。



 彼女に応えることは、確かに、裏切りである
 過去の恋人に対する、過去の愛に対する、裏切りである
 しかし、彼女に応えずにいれば、裏切りとならないのか



 愛している自分は、愛したい自分は、既に、裏切りを為していないか
 過去に対する裏切りは、もはや、避けられないのではないか
 裏切り者であることは、もはや、逃れられないのではないか



 彼女に応える、その前の場所に、裏切りがある
 既に為されている裏切りは、応えることにより、顕在化する
 未来に対する恐怖は、現在の自己否定に、代わる



 そして、その前に、何より、罪があるのでは、なかったか
 過去において、彼女を追った事、そして、追いきれなかった事
 罪に対して、罰があるのか、罰によって、罪は贖われるのか



 贖われない罪、積み重なる罪
 罰は、それ自体を目的として、自身に科される
 もっとも大きな罰は、罪が贖われず、罪が積み重なる、その認識



 罪は、生き続ける間、残り
 罰は、死に至るまで、続く
 この中でしか、居られず、この中から、出られない



 何かを愛さずには居られない自分、何かを愛してしまっている自分
 罪を犯した自分、罰を科す自分
 これら全ての存在を、彼女は、気付いているだろう



 彼女が促すのは、跳躍
 ここから、どこかへの、跳躍
 立ち尽くすのではなく、踏み出すこと



 跳躍を遂げ、踏み出すことで、罪を重ねても
 何かを愛し、何かを愛したい、それ故に、何かを損なっても
 それでも、俺は、彼女に、応えよう







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