てぃ〜たら〜てぃ〜てぃ〜てぃらた〜 てぃ〜らてぃてぃてぃ〜(オープニング曲)
すくすくいぬふく「五月」
連休の最終日。マルチとチョビと一緒に散歩をしていたら、懐かしい顔を見つけた。
久々でもあることだし、おーい、とでも手を振ろうと思ったら、向こうが先にこちらに気がついて小走りに近づいてきた。
「Hi! ヒロユキ!」
輝くようなブロンドが5月の日差しにまぶしい。それは、レミィだった。
「おう、久しぶりだな、レミィ」
片手をあげて返事をする。
そういえばマルチとレミィは面識がなかったよな、と思い紹介しようと思ったところでマルチが、あ、と言うのが聞こえた。
「マルチ、レミィのこと、知ってるのか?」
「はい!わたしがチョビを買ったときにお店にいた人です。お久しぶりです〜」
レミィに向かってちょこん、と頭を下げるマルチ。
「こちらこそお久しぶりネ!」
なるほど、ね。
「レミィ、駅前のペットショップでバイトしてたんだ」
「Yes!ヒロユキも一匹どう?とってもcuteよ」
そういってレミィは自分の犬福を手のひらに載せ見せてくれる。なぜか知らないがそいつの頭にはアメリカインディアン、最近はやりの「政治的に正しい」表現で言うならばネイティブアメリカン、の羽根飾りがついていた。
「そうだマルチ、ワタシのアパッチとyour犬福をかけっこさせない?」
「かけっこですか?楽しそうですね〜」
「ま、ここからなら高校もすぐだし、な」
レミィの犬福についてちょっとだけイヤな想像をしながら、俺は言った。
広くて、車の来ない場所でチョビとアパッチをかけっこさせるために、俺達は坂を少し登り、高校の門をくぐった。
どこかの部の練習だろう、グランドの方から声が聞こえた。
俺にとってはこの敷地に足を踏み入れるのはあかりと一緒に担任の先生に大学の合格報告をしにきて以来1年と少しぶりのことだ。だが、校門をくぐった途端に、マルチはとても懐かしそうに辺りを見回し始めた。
その様子を見て気がついた。マルチが初めてここに来てから、少し長いブランクはあったけれども俺とマルチが出会ってからもう3年も経つ、ということに。
「お休みだから校舎、開いて、ないですよね」
ふと立ち止まり、マルチが言った。
「開いていたら、久しぶりにお掃除をしたいな、と思ったんですけど」
マルチらしい。そう言うほかない言葉に、俺は思わずマルチの頭に手を載せ、髪の毛を少しくしゃくしゃとやった。
「ひ、浩之さん?」
突然のことに、こちらを見上げた姿勢のままで頬を少し赤くするマルチ。
「変わらないのな、そういうトコ」
「え、あの」
「俺はマルチのそういうとこが、好きなんだけどさ」
変わらないのな、という言葉にちょっとすまなそうな顔になったマルチにそう言うと、今度は真っ赤になってうつむいてしまった。
「ほら、レミィが早くこいってさ」
照れ隠し半分、俺はマルチをせかした。
つづく
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