利率20000%
カシャッ!!
勢いよくカーテンが開かれる。
朝の光で部屋が明るくなる。
「浩平〜」
瑞佳はいつものように、布団を剥ぎ取った。
だが、そこにいつもの人間はいない。
毛布が人の形に丸めて置いてあるだけだった。
「わあっ! またこんな事してる〜」
以前に一度同じ事をされていたので、今回はそれほど動じない。
すぐに部屋の中を探し始めた。
・・・ベッドの下
・・・クローゼットの中
・・・机の下
・・・押し入れ
・・・なぜか、引き出しの中
どこにも浩平はいない。
「あー、もうっ」
部屋の中にはいないことは分かった。
人がはいれるところはすべて探したからだ。
瑞佳は捜索範囲を浩平の部屋から家全体に広げることにした。
その時、机の上に一枚の紙切れを見つけた。
何だろう、とそれを手に取って読んだ。
『探さないでください 浩平』
「なに? これ・・・」
しばらく、考えていた瑞佳は今日が何の日か思い出した。
そして、気づいた。
「浩平が逃げた〜」
「はぁ〜、なんとか間に合ったぁ」
息を切らせて教室へ駆け込む瑞佳。
普段は浩平を追いかけて走っているので一人だと調子がでないようだ。
いつもより早く浩平の家を出たにも関わらず、遅刻ぎりぎりだった。
席に着いたところに七瀬が話し掛けてきた。
「ねぇ、瑞佳」
「なに?」
息を整えながら聞き返す。
「折原は? 今日はいっしょじゃないの?」
「逃げたよ」
「は?」
七瀬は間の抜けた声を出した。
表情も、乙女らしからぬ顔で。
しばらく黙りこった後、七瀬は瑞佳の言った意味を理解した。
「ひょっとして、今日学校に来ないつもり? あいつ」
「多分、そうだと思う」
昼休み・・・
まだ、浩平はやって来ていない。
瑞佳は七瀬と弁当を食べながら、浩平について話していた。
「瑞佳は何か浩平に言ったの? チョコレートをあげた時に」
話の内容は今日の事。
ホワイトデーの事
そして先月の事。
「キャットフードでいいよ、って一言言っただけだよ」
「十分じゃない?」
「別にホワイトデーにお返しでほしいなんて言ってないもん」
「チョコ渡しながら言ってて何言うのよっ」
二人の予想は、浩平がホワイトデーのプレゼントを用意してないので逃げた・・・という話だ。
「七瀬さんは何か要求した?」
その言葉に七瀬がうろたえた。
「わ、私は・・・デスメタル系以外のCDでもいいからってそう思って・・・
チョコにおっきく『CD』って書いた・・・」
「そっちの方がよっぽどひどいんじゃない?」
「でも、口では言ってないわよっ」
なんだか不毛な言い争いだ。
「それにしても・・・里村さんへのプレゼントもほっといていなくなるなんて変よね」
「そうだね・・・」
義理の瑞佳と七瀬はともかくとして、本命なのだからそれからも逃げるというのはちょっと考えにくい。
その茜は自分の席で弁当を食べている。
いつもなら浩平とどこかに行って食べてるのだが、今日は一人だから。
「里村さ〜ん」
長森が茜を呼んだ。
茜が長森の方を見てちょっと迷った後、自分の弁当を持ってやってきた。
瑞佳が隣にあった椅子を引きずってくる。
茜はそれに座って一緒に食べることになった。
「それで、折原からは何も聞いてないの?」
さっそく、七瀬から茜への質問。
「はい・・・」
やっぱりそうか、と七瀬が考え込む。
「やっぱり・・・瑞佳の無茶なプレゼントの要求が原因ね・・・
彼女へのプレゼントもほっといて逃げるなんて、よっぽど嫌だったのよ」
「七瀬さんの方がひどいもんっ」
相変わらずな二人をよそに茜はマイペースで弁当を食べている。
ふと、七瀬が茜に再び話をふった。
「里村さんはなにか要求したわけ?」
茜は答えた。
「・・・はい・・・ぬいぐるみを1つ」
あとがき〜
こんなのしか出来ませんでした(^^;
普通、要求しませんよね?
俺はチョコもらった要求されたことないので実状は知りませんが(笑)
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