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アートワークスを買ったので、フォークソング(リューノス)を各シナリオのハッピーエンドばかり、3つ連続でプレイ。
3つのシナリオの共通点を敢えて上げるとすれば「言うこと、言わないこと(*1)」だろうか。
言わなければ、始まらないこともあれば、言わずとも解ってほしいことも、という感じ。
あるいは「信じるための契機」とも呼べるかも。
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「私」が他者とは異なる私であることは、それほど違和感のない了解であろう。
だが、それを突き詰めたところにある、絶望的なまでの距離感・孤独感。
これは、どうか。
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12日に、私と他者との間でなされる所の境界線策定が、両者の領域や性質を決めていると書いた。
この境界線の内側に深く入り込んでしまえば、私と他者との間に大きな距離が発生する。
だが、デカルトが言うところの「cogito ergo sum」とは「思考している『限り』私は存在する」ということで、
思考とは何物かについての「志向」であるとしたフッサールの指摘を待つまでもなく、
思考は他者と接する境界線の上でのみ可能である以上、「私」もまた境界線の上でのみ可能なのではないか。
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だとすれば、「私」が孤独であるとは言い得ない。
そして、私と他者との境界線が「私」の居場所であり、「私」そのものであるならば、
その境界線は、まさに「他者」の居場所であり、「他者」そのものであるといえる。
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だが、この見地では「私」と「他者」の違い、差異性が失われてしまう。
他者「を」自己同一化することも、他者「に対して」自己同一化することも、
ともに批判する立場としては、この問題の解決が必要なのであるが。
_ *1:ウィトゲンシュタインの「語る・示す」とは無関係。とりあえずは。
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なにやら、書くべきことが大量になってしまったので、とりあえず、順不同で列挙。
……してみたら、それなりに微妙に筋が通ってみたり。
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その限りにおいて、他者とは「我々の一員」と言えるだろう。
それは一見、「私と同じ」他者という結論を導出するように見える。
しかし、「同じ」と語ることがナンセンスでもトートロジーでもないのは、
その「同じ」2者が、どこか「違う」からである。
更に言うならば、「我々」とは何者か。
それは「私」とは異なるもので、おそらく「私」を要素に含む集合ですらない。
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いろいろな場面で私が語った「恋愛関係が目指されている局面」での他者や他者性とは、
このような「我々」性と「異者」性の混在である(ということにしといてくださいまし)。
これは柄谷行人の評論集「探求II」(講談社学術文庫)での「個別性」とも通ずる面がある(通じない面もある)。
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で、異論反論というよりも、補足として私が言いたいのは、
4/12にも書いたことにも関連して、「自責とそこからの解放」だけではない、ということです。
浩平の自責の念はひどく歪んだ「自分勝手な責任」で、物語の終わりに彼はそこから解放されている。
それは確かではあるけれど、それと同時に起こっているのは、
みさおの「ありがとう」という言葉を向けられた「自分の責任」を認識する、ということ。
何かが語られるとき、その内容は出発点と目的地を持ち、その双方に「語った」「語られた」という責任を課す。
生きていく中で行われた責任の交換は、その2者が死んだ後でも、あるいは後でこそ、意味を失わないのです。
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私にとっては、舞シナリオに限らず、Kanonは全般的に考察の対象というよりは、美的対象でして
「残光」をBGMに麦畑やものみの丘(*1)が映し出されさえすれば、それで十分なのですけど……
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ともあれ。
雪駄さん(S.MA.P.)とこの第二掲示板で話題になってる舞切(というよりは舞シナリオ)について……。
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とりあえず、言語と行為は等価だってのは前提として。
舞という人はコミュニケーションの宿命を体現してる気がします。
伝えたいこと、知って欲しいこと、教えたいことがたっぷりあって、何とかして伝えようと努力するんだけど
結果、殆ど全てが失敗に終わってしまう。
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「まものがくるのっ」
字義通りには全くの嘘。
だが記号によってコードされた「意味」は記号とは全く無関係である。
照れ隠しの「ちょっぷ」も同様。
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少なくとも「力」に関しては、佐祐理は舞を理解していないし、
そうでなくても、舞の言動からその「真意」を全て見通すことは、できていない。
だから、そんなことはお構いなしに舞を受け入れてしまう佐祐理は、ある意味で問題ありなのかもしれない。
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でも、最初に書いたように言語と行為は等価、というよりも一体であるし、
以前からちょこちょこ書いているように、向かうべき対象のない行為や言語活動はナンセンスであって、
トータルでの言語活動と行為を、更に分割する分析には何の意味もない。
「踊り場での食事」を見ながらなお、前段のような主張をすることはできないのだろう。
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ところで、この手の評論考察風味な原稿もたまってきたので、
整理して、夏コミに向けて評論本を作ろうと思うのですけど。
どなたか原稿下さる方いませんか?
WEBアドレスの紹介許可ということも含めて、何人かの方にはお願いすることにはなるとは思いますが。
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*1:これが『物忌みの丘』だって説を聞いたときはひどく納得した覚えがあります。
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雪駄さん(S.MA.P.)の5・24付け雑記へのレス返し。
うーん、完全に公開書簡だ ^^;
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もとい。
ファントムは未プレイなので(保護リストには入ってますが)、なんとも言いがたいのですが……
確かに、真琴はただの記憶喪失な家出人でしかないような認識でなされる決断と
真琴を知ってなお、別の誰かを選択するのでは、違います。
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で、そのようなクリティカルさは、完全ゲームとしての選択よりも
非完全ゲームとしての選択のほうが大きいのではないでしょうか。
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完全ゲームとして情報が全て提示されていることが確認できるなら
「あれかこれか」の選択は何らかの確信の下で行うことができます。
しかし、非完全ゲームの場合には情報は全て提示されないままに
選択を強いられることになり、それはいっそうクリティカルな選択ではないでしょうか。
ともかくも選択は為さねばならず、一方でその選択に確信は持てない。
しかも、選択の結果についての責任はゲームの完全性を問わず、
同様に負うことになるのですから。
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Kanonにおいて、誰のシナリオがすでにクリア済みであるかが、プレイヤーのシナリオ観に
強く影響を与えてしまうということは考えられないでしょうか。
例えば、「名雪と栞をクリアしてから、あゆシナリオをやるべし」といった話は
まさにそのような影響関係を示していると思います(*1)。
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あるいは、TRPGなどで語られる、プレイヤーとプレイヤーキャラクター(PC)の問題かもしれません。
プレイヤーの知っている情報とPCの知っている情報の差異をどれだけ重視するか、というのはプレイスタイル論の基本で、
何十年も前から、多くの論者がこの議論に参加してきたわけです。
『プレイヤーにとっては完全ゲームであっても、PCの振る舞いは非完全ゲームのそれをしなければならない。』
古典的なTRPG観はそんな感じがします。SNEなんかはメタ的にゲームを楽しむ人が多いからか、そうでもないようですが。
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で、Kanonなどのゲームではファーストプレイ時を除いて、常にプレイヤーはPC以上の情報を持ってはいながら、
PCの知りえた情報とシナリオライターが設定した選択肢という二つの制約の中にいます。
この二重性の複雑さを意識した上で、「選択への意志」をなすのであれば
Kanon型のノベルゲームであっても(或いはあってこそ)、「ゲームを進行させている」という感触の中に埋没してしまうことなく
クリティカルな選択をプレイヤーは行うことができるでしょう。
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そして、これはプレイヤーとPCの二重構造とは関係ないのですけど……
Kanonにおいて非完全ゲームを生きているのは佐祐理さんじゃないかという、ちょっとした思い付きがあります。
舞は全くの完全ゲームを生きているし、美汐や香里は実際にはそうでないのに完全ゲームに「してしまって」います。
24日にも書いたような佐祐理さんの態度は、非完全ゲームにおける選択そのものです。
それは、おそらく佐祐理さんの過去、すなわち、「ただしいこと」を知っている、完全ゲームである、
と思い込んでしまった経験によるのでしょう。
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*1:余談ながら、私はまず最初にあゆをクリアしてしまったので、栞シナリオでのあゆの振る舞いには結構くるものがありました。
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呆けた頭で「耳をすませば」のサントラを聴きつつ、考えてたこと……
「少し高い場所」の魅力というか、なんというかについて
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「少し高い場所」のネタ元はくわね氏も書いてる通りlainなのだけど
今回はちょっとはなれたところから
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私にとっての「少し高い場所」とは高架橋の上を走る電車の車窓であり、
高層ビルの展望室であり、海に突き出た丘の上だったりする。
それらの視点は、天と地がちょうど半々に見えて、その上、それら二つからはどこか離れたもの。
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世界を天と地に分けるとして、天は地よりも優れているとか、地は汚いとか、
天などは無くて、ただ地があるのみだ、などとは考えない。
天も地もそれぞれの美しさがあり、一方で胡散臭さと泥臭さも含んでいる。
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その天と地から一歩退き、かつ両者を同時に見ることができる視点、
これが「少し高い場所」の視点で、これが得られることがその魅力のように思える。
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この視点からの美しさは「耳をすませば」の劇中に多く出てくるから、こんなことを思いついたのだろうけど。
ともあれ、そのために新幹線に乗ったり、都庁に上ったりする、私なのです。
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