『プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第2章』感想

単独でまとまった物語の性質が強かった1章とは違って、今回の2章はCrown Handler(王位を握るものといった意味だと思う)の物語としての導入といった感じで、物語全体はまだ見えてこない印象だった。
ただ、その分作品世界を語るような描写や場面も多くて、いくつかはちょっと考えてみたりしたので記録しておく。(後になるほど妄想と勝手解釈が増します)

今回一番良かったと思うのは、プリンセスとメアリーの関係を受けてアンジェとプリンセスが自室で話す場面で、アンジェが「昔の私にもプリンセスのようなお姉さんがいたら」という言葉に対してプリンセスが「私は良いお姉さんじゃない」と返したところだった。(正確な台詞は曖昧なので大雑把な言い方として。このやりとり自体がただの思い込みだったらごめん)
実際、孤独だったアンジェ(当時のシャーロット)は外から来たプリンセス(当時のアンジェ)に10年前に出会っていて、それは2章の物語でプリンセスがメアリーの助けになろうとしているのと同じような構図である。
一方、プリンセスが目指す目標である彼女自身が女王となるということのためには、より継承順位の高いメアリーを何らかのかたちで排除せねばならず、それはプリンセスがアンジェに負っている「本来自分のものではないプリンセスという立場に自分がいる」という認識にも通じていて、だからこそ「良いお姉さんじゃない」という発言につながったのかなーと。

冒頭、共和国によるケイバーライト爆弾実験に使われた戦艦は前ドレッドノート級のような外観(主砲塔が前後の2つのみの鋼鉄装甲、前ド級であたる三笠が典型)に見えた。
もしあの船が前ド級戦艦なら、プリンセス・プリンシパルの時代設定はビクトリア期後期・19世紀末なので、前ド級戦艦を(普通は更新され退役した艦が最後の役割になる)標的艦にするのはやや時代が違う気がする。(我々の知る歴史では)前ド級の三笠が1900年に進水、ドレッドノートの進水が1906年なのだが、そこはケイバーライトの発見で工業・軍事が加速していると言うことだろうか。
あるいはもっと単純に、ケイバーライトによる空中戦艦の登場で、海上を航行する戦艦はすべて時代遅れになったと言うことかもしれない。

新大陸から帰国したリチャード王子は、新大陸駐留の軍を使って反乱を収めたとも語られていた。ただ、プリンセス・プリンシパルの世界での新大陸がどのようになっているかは語られていない(はず)で、もし我々の知る歴史と同じならアメリカは独立国家であり、カナダの自治領も19世紀後半には成立していて、新大陸の主な海外領土としては西インド諸島がある。
このリチャードが総督として活躍した新大陸というのが西インド諸島なのか、あるいは北米や南米の領域なのかはわからないが、我々の知る歴史でも当時の西インド諸島では度々反乱が起きていたことや、1章でビショップを2章でエドワードを殺した褐色の肌の暗殺者を引き込んだのはリチャードではないかという憶測ともあわせて、西インド諸島はそれらしい気がする。(あの暗殺者の裏にはリチャードがいて、2章のリチャード銃撃事件は自作自演である、と思っている)
ただ、王位継承順位3位のリチャードを遇するのに西インド諸島の総督というのは軽い気もして、リチャードの支配下にある新大陸軍の軍事力が王国全体の中でも大きなものであるという事も含めると、アルビオン王国は新大陸のより広い範囲を海外領土としていて、そこの総督がリチャードなのかもしれない。

歴史がらみの妄想は、我々の知る歴史とプリンセス・プリンシパル世界での歴史がどこで分離したのかが解るともうちょっと捗るかなあ。(何かの資料に載ってる?)
プリンセス・プリンシパル世界のアルビオン王国は大陸領土を保有しているようなので、これが百年戦争が我々の知る結末とは異なったことによるのか、あるいはケイバーライトによる覇権によって一度失った大陸領土を回復したのか、とかが気になったりする。アルビオンが大陸領土を維持し続けたのであれば、そこに成立する勢力の歴史にも影響するから、例えば我々の知るヌーベルフランスが空白になって代わりにアルビオンの海外領土が成立するとかもありそうな話になる。